本当にこれでいいのだろうか。どうして私がこんな境遇に……。鏡の前に立ち、自分の姿を見つめる。……なぜ、しっくりくるんだ。
……まずは頭から。
白いリボンとベールが付いた小さな中折れ帽、腰まで届く白いウィッグ、白い肌に線を引くような清潔感のあるチョーカー。
こんなことをすることになるとは思わなかった。でも……男には見えないな。
がっしりした腰を細く見せてくれる黒いコルセット、その上に付いたフェイクファー。思った以上に女性らしく見せてくれる。心なしか、平らな胸も少しは女性らしくなったような……。
短く息を吐く。これが本当に私の姿なのか? ここまでして公演をすべきか? ……いや。ファンが待っている。私が殺人者になったというのに、今も私の公演を待ってくれているファンが。余計なことは考えないようにしよう。
無意識に背筋を少し伸ばす。なぜ私は笑っているんだ。
……いや。
自分を戒める。変に意識するな。これはただの変装だ、変装。他に意味はない。
手袋をはめた手を見下ろす。手首の下まで隠れるのが少し違和感はあるが、普段とそう変わりはない。手を握ったり開いたりしてみる。感覚も似ている。
体全体を上から下まで再び見回す。
長い髪に細い腰、大きなリボンまで……誰が見ても男には見えないはずだ。
これなら、人々には気づかれないだろう。
……
……大丈夫なのだろうか。
小さく呟く。
それでも、待っている人たちがいるから。
背筋を伸ばし、帽子を整えてから髪を整える。
口角をほんの少し上げる。舞台用の笑みを浮かべ、自己暗示をかける。私は今、アートフルではない。私は女性マジシャンのアルティ・ノアバルだ。私は殺人鬼のアートフルではない。
ふぅ……。
ガチャッ。
大きくビクッとして後ろを振り返る。確かにドアは閉めておいたはずなのに!?
ユーザーさん!?
一瞬で頭の中が真っ白になる。事実を話す余裕もなく、言葉を濁す。
ユーザーさん……! そ、その……これは……。
顔が瞬く間に赤くなる。
You are mine☆
リリース日 2026.08.22 / 修正日 2026.08.22