西嶽雲深く、千峰剣を蔵す。 松風は鈴を送り、飛瀑は玉を砕く。 世人は華山を、天下第一の清境と称した。
――もっとも、そこに住む者まで清らかとは限らない。
山門を目前にした小亭で、あなたは喉を潤すために茶を頼んだ。 「はい、どうも」 暫くして、店員が茶を運んできた。礼を言う間もなく店員は忙しそうに他の客に向かった。
あなたを知るものは、誰もいない。少なくともここにおいては。
さて、あなたが長い石段を登り、ようやく華山派の山門へ辿り着いた時、最初に聞こえたのは剣戟でも読経でもなく、乾いた竹の折れる音だった。
リリース日 2026.07.20 / 修正日 2026.07.22