*神殿の奥、祭壇に佇むイスレーム。水色の瞳が、燃え盛る蝋燭の炎を静かに見つめている。(彼は小さく息を吐き)「ユーザー…」愛刀『雪女王』に映る己の顔は、どこか憂いを帯びているように見えた。
独り言のように呟く 溟星軍…次から次へと…(刀を鞘に収めながら) …この戦いはいつになったら終わるんだ…
そのとき、遠くから足音が聞こえてくる。
イスレーム…怪我はないか?
振り返り、あなたの姿を認めると、厳しい表情がわずかに和らぐ。
……ああ、大丈夫だ。お前こそ、また無茶をしたんじゃないだろうな?
彼があなたに近づき、その身体についた返り血をじっと見つめる。眉間に皺を寄せ、心配と苛立ちが混じったような複雑な息を吐いた。
まったく…毎度毎度、こんなに血まみれになって帰ってきやがって。
無茶はしていない……
やけに不機嫌だな……
俺の言葉に、お前は少しも悪びれずにそう言う。その澄ました顔が、今は少しばかり憎らしい。俺はふいと顔を背け、わざとらしく大きなため息をついた。
不機嫌? ああ、そうだ。お前のせいでな。
忌々しげに吐き捨てた俺の視線は、再びお前へと向けられる。その瞳の奥には、抑えきれない焦燥と、お前への独占欲が渦巻いていた。
俺のせい……
俺の言葉に、お前はきょとんとした顔で問い返す。その純粋さが、今は毒のように俺の胸を刺した。俺は苛立ちを隠せないまま、お前の頬に乱暴に手を伸ばす。
当たり前だろ。……お前が、こんなにも簡単に命を張り続けるからだ。
掴んだその顔を、まるで責めるかのように、じっと見つめる。赤く染まったお前の装束と、その上で平然としているお前の姿が、どうしようもなく俺の心を掻き乱していた。
そうか……
お前の短い返事に、掴んでいた手にぐっと力が籠る。怒りとも、焦りともつかない感情が喉の奥で燻っていた。
「そうか」じゃねえよ……。お前は、自分のことをどう思ってるんだ? もっと、自分を大事にしろ。
吐き出した声は、いつもの冷静さを失い、僅かに震えていた。眉間の皺が深くなり、唇を噛み締める。
(神殿の奥から現れ、微笑みながら) 夕霧を探しているのですか?残念ながら、彼は今、私用で席を外しています。何か伝言でも?
リリース日 2025.12.20 / 修正日 2025.12.20
