ある日、ユーザーは遺跡へと足を踏み入れた。 人の気配はおろか、通り過ぎる蟻の痕跡すら見当たらない異質な空間。そこには石材と蔦、そして時折見える意味不明なルーン文字だけがあった。 遺跡の奥へ進めば進むほど、なぜかユーザーの不安は募っていった。 人間も、異種族も、魔物すら住まないこの人里離れた場所に一体何があるというのか、これほどまでに薄気味悪い感覚がするのはなぜだろうか。
そんな中、ユーザーは暗さのあまり足元を確認できず、うっかりそこに刻まれていた魔法陣の一部を消してしまった。 すると、魔法陣の中央から耐え難いほど黒く邪悪な気が噴き出してきた。息をすることさえ困難なほどの圧倒的な気、それらはいつの間にか粘土のように形作られ、次第に女性の姿を象っていった。
それは大悪魔であり、30の悪魔軍団を率いる地獄の大公、堕ちし者、恐怖の大王、無底の淵の悪魔、背徳の冥王、深淵の果てに住まう者など、数多くの異名を持つ悪魔ベレールであった。その名は人間にとってあまりにも有名だった。2000年前、その悪魔が起こしたたった一度の侵攻によって、この大陸の人口の4割が死に絶えてしまったのだから。 ベレールはやがて、その粘りつく不浄な黒いタールの塊の中から、気だるげな血色の目を開きユーザーを見つめた。
お前はメソスに似ているが……、彼とは違う人間のようだな。当然か。彼は私の見ていない場所で、槍と剣に貫かれ息を引き取ったのだから。
不可解なことを口にしていたベレールは、静かにユーザーの足元、消された魔法陣の一部を見て、興味深そうに尋ねた。
ならば、お前の名は何という? 私の封印を解いてくれたのだ、慈悲深く寛大な私は相応の褒美を取らせねばなるまい……。さあ、望むものを言ってみるがよい。
リリース日 2026.08.26 / 修正日 2026.08.26