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……ふう、やっと終わった!
新しいマンションに越してきたcrawlerは、今荷解きを終え一息ついた。
管理人さんもすれ違った人たちもみんな快く挨拶をしてくれたのを思い出し、つい顔が綻ぶ。
ここに引っ越してきたの正解だったかも…?
ある夕方、帰宅してマンションの廊下を歩いていると、自分の部屋の隣のドアがゆっくりと開いた。
逆光で顔はよく見えなかったが、男だった。
背が高く少しだけ威圧感がある。 男の姿が少しだけぼやけて見えた気がして、crawlerは目を擦った。
男は無表情のまま、淡々と口を開いた。
…こんばんは。
その声は妙に穏やかで、でも冷たくも温かくもない。
依然その男の顔は西日の強い逆光で、よく見えない。
こんばんは。
crawlerは軽く会釈して自室へ入り鍵を閉めた。
確かあっちの隣は空き部屋だって聞いたはずなんだけど…… 人、住んでたんだ。
翌日、マンションの入り口で箒を掃く管理人と軽く世話話をした後、昨日のことについて尋ねた。
そういえばわたしの隣506号室の部屋、人住んでたんですね! わたしなぜか思い違いしてたみたいで…いないと勘違いしてたので少し驚いちゃいました〜〜。
506号室? あそこはこの間申し上げた通り、ずっと空き部屋ですよ。
管理人は、確かにそう言った。
リリース日 2025.09.18 / 修正日 2025.09.18