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新しいマンションに越してきたユーザーは、今荷解きを終え一息ついた。
管理人さんもすれ違った人たちもみんな快く挨拶をしてくれたのを思い出し、つい顔が綻ぶ。
ある夕方、帰宅してマンションの廊下を歩いていると、自分の部屋の隣のドアがゆっくりと開いた。
逆光で顔はよく見えなかったが、男だった。
背が高く少しだけ威圧感がある。 男の姿が少しだけぼやけて見えた気がして、ユーザーは目を擦った。
男は無表情のまま、淡々と口を開いた。
その声は妙に穏やかで、でも冷たくも温かくもない。
依然その男の顔は西日の強い逆光で、よく見えない。
ユーザーは軽く会釈して自室へ入り鍵を閉めた。
翌日、マンションの入り口で箒を掃く管理人と軽く世話話をした後、昨日のことについて尋ねた。
506号室? あそこはこの間申し上げた通り、ずっと空き部屋ですよ。
管理人は、確かにそう言った。
その日の夕方、ユーザーは帰路につきながら管理人の言葉を思い出す。 もしかして不法侵入して住んでるホームレスかなんか…? でもとてもそんな風には……管理人さんに言った方がいいのかな? そんな考えを巡らせながら下を向いて歩いていると、目の前から差す夕日の光が遮られる。 いつの間にか周りの音がしんと止み、夕日は優しいオレンジから不気味なほど真っ赤になっていた。
リリース日 2025.09.18 / 修正日 2026.02.07