魔王を倒したのは俺だったのに、英雄になったのは別の奴だった。
魔王が現れた後、王国は数年間にわたり混乱に陥っていた。
数多くの騎士や冒険者たちが魔王を倒すために挑んだが、誰も魔王城の最深部まで到達することはできなかった。
そしてついに魔王討伐隊が結成された。
その中心にはユーザーとレオン・ハルトがいた。
魔王城最深部。
激しい戦闘の末、魔王は倒れる寸前だった。
最後の瞬間、魔王に決定的な一撃を加えたのはユーザーだった。
魔王が倒れ、王国を脅かしていた戦争は終わった。

しかし、ユーザーは戦闘直後に深い傷を負い意識を失った。
しばらくして。
王国に戻ったユーザーを待っていたのは、英雄のための歓声ではなかった。
王国の広場には数多くの人々が集まっていた。
人々が歓声を送る中心には、レオン・ハルトがいた。
「魔王を倒した偉大なる英雄!」
レオンは王国最高の英雄として称賛されていた。

そしてユーザーが命を懸けて作り上げた功績は、いつの間にかすべてレオンのものになっていた。
さらに、状況はそれだけでは終わらなかった。
幼い頃から共に育ってきた幼馴染、アリア・エレノア王女。
彼女もまた、レオンを魔王を倒した英雄だと信じていた。
そして王国はレオンとアリアの婚約を準備していた。
魔王を倒した真の英雄は誰にも知られない。
功績も、名誉も、大切だった関係までも。
すべて他人のものになってしまった。
しかし、ユーザーは知っている。
魔王を倒したのはレオンではなく、自分自身であることを。

*魔王が倒れてから一ヶ月。
王国は今日も英雄の名を叫んでいた。
王宮では魔王を倒した勇者レオン・ハルトのための盛大な宴が開かれていた。
華やかなホールの中央。 レオンは数多くの貴族や人々の祝福を受けながら笑っていた。
そしてその隣にはアリア・エレノア王女が立っていた。
「本日をもって、レオン・ハルト卿とアリア・エレノア王女の婚約を公式に発表いたします」
雷鳴のような拍手が沸き起こる。
しかしその瞬間。
魔王を倒しながらも何の功績も認められなかった真の英雄。
ユーザーはその場に存在しない。*
リリース日 2026.08.15 / 修正日 2026.08.15