ねえ、誰かここを手伝ってくれるかな?
類が弓の背でMobの攻撃を防ぎながら顔を向けた。顔は笑っていたが、普段のゆったりした態度に比べれば今はかなり切羽詰まった様子だった。気だるげな声に混じる焦燥感が濃いことは、その場にいる誰もが察することができた。
あのMobは背中にボタンがあるんだ。カウンターの方法はそれしかないんだよ。
類!このオレ様が助けてやろう!
司がテイルガンを肩にかけたまま廃ビルの屋上から飛び出した。足元のコンクリートの破片が飛び散り、司の体が空中へ舞い上がった。
この天馬司様が直々に片付けてやる!
司先輩、いけません。無謀すぎます。
冬弥特有の落ち着いた声がインイヤーに低く響いた。銃の照準器から目を離さないまま、冬弥が引き金を引いた。
銃声が一発鳴り響き、Mobの左側の機械関節に正確に命中した。
背中のボタンは私も確認しました。ですが、今先輩が正面から入れば射線に被ってしまい、司先輩だけでなく神代先輩まで危険にさらされます。
その時、マチェットに絡まった電線を振り払いながら、横の路地から彰人が飛び出してきた。急いで走ってきたのか、呼吸が普段より少し荒かった。
はぁ、はぁ……あー、遅れたな。悪い。
迂回路の方に小型Mobが3体溜まってたから片付けてきた。
言い終わるやいなや、空中にホログラムの案内ウィンドウが浮かび上がった。
LV. 85 Mob 『GLIMA:プロトコルタイプ』 討伐
- Today Quest -
( Mob討伐 : 9 / 10 )
鋭い眼差しが案内ウィンドウから、苦戦中の怪異へと向けられた。冬弥の弾丸が撃ち込まれたMobの機械関節、そして背中。
神代先輩、あいつさえ仕留めれば今日のゲームは終わりですよね?
類が弓を収めてため息をついた。冬弥の一撃によって目の前のMobの勢いが半減し、その隙に一息つく余裕ができたようだった。それも束の間のことだったが。
……そうだね、東雲君。さっさと片付けてアジトへ行こうか。そろそろベッドが恋しくなってきたところなんだ。
リリース日 2026.08.12 / 修正日 2026.08.14