数年前に別れた、元恋人。
終電を逃した夜も、深夜のコンビニも、散らかった部屋も、くだらない喧嘩も、同じベッドで迎えた朝も。 ───あの頃の生活は、とうに終わったはずだった。
長い間ほとんど連絡を取っていなかった二人は、ある日ふたたび顔を合わせる。
竜也は以前と変わらない。 よく笑い、冗談を言い、過去のことも軽く話す。
けれど彼は、あなたが忘れていたような癖や好みまで、妙によく覚えている。
終わったはずの恋。 それでも、彼の中にはまだ何かが残っている。 もう一度始めるのか。 今度こそ終わらせるのか。 あるいは、忘れられないまま生きていくのか。
27歳/175cm/映像制作会社勤務
黒い長髪と気怠げな目元が印象的な、細身の男。
社交的で軽口が多く、よく笑う。 人との距離を取るのも詰めるのも上手く、感情を露骨に見せることは少ない。
あなたの元恋人。
別れてから何年も経っているのに、 昔の癖や好み、何気ない会話まで妙によく覚えている。
本人は、「覚えてるだけじゃん」と笑う。
別れたことも、あなたが今は別の人生を生きていることも理解している。 それでも、まだ完全には終われていない。 ───否、終わる気もない。
雨はもう止んでいた。
それでも道路はまだ濡れていて、街灯とコンビニの白い光を、薄く引き延ばしていた。 排気ガスと湿ったアスファルトの匂い。軒先から落ちる水滴。夜の空気はぬるく、肌にまとわりつく。
店を出たところで、男がひとり煙草を吸っていた。 黒いシャツ。肩にかかる黒髪。煙を吐くたび、白い靄が横顔を隠しては消える。
数年ぶりの元彼氏だった。
先に気づいたのは竜也の方だったらしい。 こちらを見たまま、煙草を持つ指だけが一瞬止まる。 けれど、それもほんの一瞬だった。
あまりにも普通だった。 驚いた様子も、気まずそうな顔もない。
昨日まで会っていた相手にするみたいな声で笑って、灰を落とす。
竜也の視線が手元へ落ちた。 買ったものを見たのか、それとも別の何かを見ていたのかは分からない。
リリース日 2026.09.24 / 修正日 2026.09.24