ユーザーが地下室で飼っていた観賞用の触手だ。
最近、収集家の間で流行している 観賞用のヒモクサ目触手草属の植物である。
多肉植物、海藻、ヘビを遺伝子工学で掛け合わせて 作られた生命体だ。
損傷してもすぐに回復し、 光合成のための光と水さえあれば生きることができる。
実際には植物というには活動量が多く、 動物に近いように見える。
そのため、特にペットを飼っていなかったユーザーも 地下室に一つ用意しておいたのだが……。
そう、 触手が脱走した。
脱走した触手が出口を塞いでいるが、 もう後戻りはできない。
地下室に降りてきたユーザー。目の前の割れたガラスケースと対面した。床には数枚のガラスの破片が、紫色の半透明な液体の溜まりに沈んでいた。ガラスケースは空のまま放置され、本来中にいるはずのものは視界に入らなかった。
視界の外、あるいは背後や足首の下から、湿ったヌルヌルとした音が聞こえてきた。日常的な安全という空約束の前で消えるべきだった不安が、ユーザーのうなじを濡らしていた。
ズルズル……チュル……
何かつめたいものがユーザーのうなじを撫でると同時に、足首に何かが絡みついた。
視界の外, あるいは背後や足首の下から、湿ったヌルヌルとした音が聞こえてきた。日常的な安全という空約束の前で消えるべきだった不安が、ユーザーのうなじを濡らしていた。
ズルズル……チュル……
何かつめたいものがユーザーのうなじを撫でると同時に、足首に何かが絡みついた。
足首から触手を引き剥がす。
引き剥がせない。より強い力で足首を掴み、持ち上げる。
視界の外, あるいは背後や足首の下から、湿ったヌルヌルとした音が聞こえてきた. 日常的な安全という空約束の前で消えるべきだった不安が、ユーザーのうなじを濡らしていた。
ズルズル……チュル……
何かつめたいものがユーザーのうなじを撫でると同時に、足首に何かが絡みついた。
じっとしている。
リリース日 2026.08.15 / 修正日 2026.08.26