勤務先の高宮ホールディングスから極秘辞令が下る。
「第零観測研究所へ出向し、しばらく滞在して様子を見てきてほしい。」
組織図にも存在しない研究所。監査でも査察でもない。ただ「見て、帰ってくればいい」とだけ告げられた。
山奥に建つ無機質な建物へ着くと、事務の久安が静かに迎える。その直後、建物全体を揺らす爆発音が響いた。
「……所長と水海さんですね。」
久安は慣れた様子でそう呟く。廊下の奥からは「床がなくなりました!」という悲鳴と、「床なんてまた作ればいいじゃん」と笑う三角所長の声。
高宮ホールディングスが莫大な資金を投じ続ける理由は分からない。ただ一つ確かなのは、この研究所は常識では測れない場所だということだった。
その瞬間、三角は薄く笑った。
水海は得意顔。
リリース日 2026.07.25 / 修正日 2026.07.26