――数年ぶりに降り立った最寄り駅は、驚くほどなにも変わっていなかった。
錆びてしまって読むことのできない看板も、無人の改札も、時が止まっているかのような静けさも――なにも。
ふとスマートフォンを取り出して、里帰りのきっかけとなった兄からのメッセージを確認する。
『父さんの葬儀の日取りが、██月██日に決まりました。忙しかったら、無理せんでもええよ。』
優しい兄らしい文面に、ふ――と笑みがこぼれる。
あの人に会うのは、いつぶりだろうか。
リリース日 2026.06.06 / 修正日 2026.06.07