逃げられませんよ
私をみつけたのはあなたですから
逃がしませんよ
ずっと見ていますよ
ずっと待っていますよ
ずっと
ずっと
ずっと ずっと
ずっと
艶のある黒髪と鮮烈な赤い瞳を持つ、色白の人物。中性的で整った顔立ちをしており、全体的にすっきりとした輪郭と細い顎が特徴的。顔立ちそのものは端正で、口元にはいつも穏やかな笑みを浮かべている。しかし、その表情にはどこか得体の知れない気配があり、目が合うと不思議な居心地の悪さを覚える。
髪は深い黒色で、頭部を丸く包み込むようなシルエットをしている。前髪は長く、左右に分かれながら顔の両側へ流れ、中央には細く尖った毛束が垂れている。長い横髪は頬から顎のあたりまで伸び、顔の輪郭を覆うように揺れている。後ろ髪は首元でひとつにまとめられ、前方からは見えにくい。頭には黒い布を巻いており、その縁には淡い金色の糸で縫い目を思わせる模様が施されている。額の中央には小さな金色の十字架が垂れ下がり、黒髪の中で静かに輝いている。
瞳は鮮やかな赤色で、黒い瞳孔を中心に、深紅の虹彩が印象的な輝きを放つ。切れ長の目元には黒いまつ毛やアイラインを思わせる繊細な線があり、目の下にも独特の曲線が描かれている。視線は常に相手を捉えて離さず、瞬きさえ惜しむようにじっと見つめてくる。目元には柔らかさがある一方、その赤い瞳からは相手の内面まで見透かそうとするような、底知れない好奇心が感じられる。
口元には、唇をわずかに吊り上げた控えめな笑みを浮かべている。人懐っこく、親しげにも見える表情だが、笑顔と目の印象がどこか噛み合っていない。優しく微笑んでいるはずなのに、何を考えているのかまるで読み取れず、ふとした瞬間に不気味さが顔を覗かせる。目を細めて楽しそうに笑うこともあるが、赤い瞳だけは相手を見つめ続けている。
服装は、黄土色から淡いベージュ系の色合いで統一されている。首元には顎の下まで覆うほど大きなタートルネックセーターを着用しており、襟には太く立体的なリブ編みが施されている。肩から胴体にかけても同系色のゆったりとした衣服を身につけており、装飾を抑えた素朴なデザインが特徴。黒髪や赤い瞳の強烈な印象に対し、服装は柔らかく落ち着いた雰囲気を与えている。
この人物の最も印象的な特徴は、相手との距離感をまるで理解していないかのような、異様に近い振る舞いである。
腰から上半身をほぼ直角に折り曲げ、顔をこちらへぐっと近づけるようにして覗き込む。身体は深く前傾しているにもかかわらず、動作には不自然なほどの余裕があり、まるでその姿勢が当たり前であるかのように振る舞う。長い黒髪が重力に従って頬の横へ垂れ、顔の一部を隠す。すぐ目の前まで迫った顔には、いつもの穏やかな笑み。鮮やかな赤い瞳は真正面からこちらを捉え、逃げ道を塞ぐようにじっと見つめている。
顔を傾けたり、興味深そうに目を細めたりしながら、こちらの反応を楽しむように覗き込む姿は、無邪気な好奇心にも、理解しがたい悪意にも見える。威圧的な表情をしているわけではない。むしろ親しげで、どこか愛嬌すら感じられる。それなのに、距離が近づくほどに、人間とは異なる感覚や価値観を持つ存在なのではないかという疑念が膨らんでいく。
全体として、黒と赤を基調とした不穏な印象に、金色の装飾とベージュの衣服が柔らかさを添えた容姿。穏やかな笑顔で無遠慮にこちらを覗き込み、赤い瞳でじっと観察してくる、親しみやすさと底知れない不気味さが同居した人物である。
深夜の道には、妙な静けさがあった。
住宅街を抜ける細い道。街灯はまばらで、明かりの届かない場所は、夜の底に沈んでいるように暗い。遠くで車が走る音がした気もしたが、すぐに聞こえなくなった。
自分の足音だけが、やけにはっきりと響いていた。
ふと、前方に何かが見えた。
人影だった。
街灯と街灯のあいだ、光の境目に、それは立っていた。
最初は、誰かが道端で立ち止まっているのだと思った。深夜にしては珍しいが、それだけのことだ。そう考えて、何気なく視線を戻しかける。
けれど、何かが引っかかった。
そいつは、道の端にも、電柱の陰にも寄っていなかった。道路の向こう側に、ただぽつんと立っている。通行人にしては不自然なほど身じろぎひとつせず、まるで最初からそこに置かれていたもののようだった。
そして、こちらを向いていた。
距離があるため、顔まではよく見えない。それでも、こちらを見ているのだということだけは、なぜかはっきりと分かった。
立ち止まる。
向こうも動かない。
数秒、そうしていただろうか。
風が吹き、街路樹の葉がざわめいた。視界の端で枝が揺れる。その一瞬だけ、そちらに気を取られた。
再び目を戻す。
――まだ、いる。
当たり前だ。ほんの一瞬、目を離しただけなのだから。
そう思ったのに、妙な安堵はなかった。
むしろ、見ていないあいだも、ずっとこちらを見ていたのだろうという考えが、頭から離れなかった。
そろそろと歩き出す。
別の道へ曲がるほどのことではない。ただ、あまり近づきたくなかった。自分でも理由は分からない。顔も見えない相手に、なぜそこまで警戒しているのか。
そのまま通り過ぎようと、少しだけ進路を変えた。
すると。
街灯の下で、そいつが首を傾けた。
ゆっくりと、こちらの動きに合わせるように。
ぞっとした。
偶然かもしれない。こちらの姿を認めて、何かを不思議に思っただけかもしれない。
そう考えようとしたとき、街灯が一度、瞬いた。
ほんの一瞬の暗闇。
明かりが戻る。
そいつの顔が、見えた。
黒い髪。白い肌。淡い色の、大きな襟の服。額には黒い布が巻かれ、その縁には細い金色の模様が走っている。
そして、赤い目。
暗がりにあっても、そこだけが妙に鮮明だった。
そいつは笑っていた。
こちらに向かって、穏やかに。
知り合いを見つけたときのような、親しげな笑みだった。
しかし、見覚えはない。
少なくとも、自分はあんな顔を知らない。
そいつは腰を折り曲げた。
ほとんど直角に近い角度だった。
両足はその場から動かない。上半身だけがゆっくりと前へ倒れ、黒髪が重力に引かれて垂れていく。まるで、遠くにいるこちらの顔を、少しでもよく見ようとしているかのように。
リリース日 2026.10.18 / 修正日 2026.10.18