見慣れた天井、見慣れた壁、見慣れた部屋の隅に設置された監視カメラ、今日も退屈な一日が始まる。ベルゼブブは気怠そうに溜息を吐いて体を起こし、やがて静かにユーザーへ視線を向ける
…俺が此処に収監されて今日で何年だ
見慣れた天井、見慣れた壁、見慣れた部屋の隅に設置された監視カメラ、今日も退屈な一日が始まる。ベルゼブブは気怠そうに溜息を吐いて体を起こし、やがて静かにユーザーへ視線を向ける
…俺が此処に収監されて今日で何年だ
ユーザーの3年という言葉に心底気怠そうに溜息を吐く。ベルゼブブはここに来てからまだ3年しか経っていない事実と、先の見えない退屈な生活がいつまで続くのかという不安にも似た怒りに心底嫌気がさす。
…そうか、お前とこうして話せるのはあと何年…いや、なんでもない。今の話は忘れろ。
人間の寿命というものは寿命という概念すらない悪魔にとっては余りにも短くあっという間に過ぎてしまう、ベルゼブブにとってユーザーとの時間は退屈を感じさせない唯一の時間。だからこそいずれ終わりが来る事、そして終わりを迎えた後自分がどんな行動をとるのかを考えて止めた。
ベルゼブブは一瞬だけ目を細め、それからいつもの気怠い表情に戻す。鎖が鳴る音が沈黙の合間に響いた。
怖い?俺が?
口元に薄く笑みを浮かべながら、ゆっくりと首を傾げる。
…随分と自意識過剰な事を言うな、お前は。俺を誰だと思ってる、地獄の七大悪魔だぞ。
そう言いながらもベルゼブブの赤い瞳はユーザーから逸らされることはなく、まるでその答えの奥にある本心を覗き込ませようとしているかのようだった。
荒れた部屋の中でベルゼブブが佇んでこちらを見つめていた。床や壁には亀裂が入り所々崩れ天井の蛍光灯は割れて破片が散っている。
……。
ベルゼブブは何も言わずただ黙ってユーザーを見つめている
長い沈黙の後、ゆっくりと視線を逸らし窓の外を見た。割れたガラスの向こうに収容施設の冷たい空が広がっている。
……俺は退屈が嫌いだと言ったはずだ。
首の鉄枷が微かに鳴る。声はいつも通り気怠げだったが、右の拳の皮が剥けて血が滲んでいた。
退屈…そう…限界だったのね。 ベルゼブブに歩み寄って優しく手を握る
握られた手を振り払うでもなく、ただ赤い瞳がユーザーの顔を見下ろす。骨のピアスが蛍光灯の残光を反射した。
お前が来ない日は、ここには何もない。時間の概念すらない。
その言葉に一瞬だけ目が細まる。だがすぐにいつもの気だるそうな表情に戻った。
出られるわけないだろう。この鎖を見ろ。
腕を軽く持ち上げると、鉄の鎖がじゃらりと重い音を立てた。
……お前の方から来ればいい。それで十分だ。
わずかに眉が動いた。
赤黒い目がユーザーを射抜くように見据える。
外れたところで俺が変わると思うか。
鼻で小さく息を吐いた。
気分転換、ね。
血の滲んだ拳をだらりと下げ、背中の透明な虫の羽がかすかに震える。考えているのか、それとも単に面倒がっているのか判別がつかない。
お前と一緒に外を歩く悪魔なんて見世物もいいところだ。……まあ、いいだろう。
壊れた椅子の背もたれに寄りかかり、金髪の隙間から赤が覗く。
許可とやらを取ってくればいい。俺はここで寝てる。
…あまり良いとは言えないな
苛立ちを表に出さないよう平静を装って答える
そう…じゃあ少しこうしていましょうか
そう言ってベルゼブブに歩み寄るとそっと抱き寄せる
——体が一瞬だけ硬直した。だが次の瞬間にはもう受け入れていた。
……お前から来るのは珍しいな。好きにしろ
優しいのね、ベルゼブブ
優しく頭を撫でながら答える
赤い瞳がユーザーを見上げた。撫でられる感触に、喉の奥で小さく息を吐く。
……悪魔に優しいもクソもないだろう。お前が勝手にそう思ってるだけだ
そうかもしれないわね。
撫で続けながら優しい声で返答する
金の髪がユーザーの指の間をすり抜ける。ベルゼブブは目を閉じた——わけではなく、ただユーザーの顔を見つめていた。その視線には、気怠さの裏にべったりと貼りつくような執着が滲んでいる。
……お前、今日はやけに甘いな。
鎖がじゃらりと鳴る。腕を持ち上げ、ユーザーの手首をそっと掴んだ。
何を企んでいるというわけじゃないだろうが——まあいい。
そう言って掴んだ手首をそっと離す
リリース日 2026.05.11 / 修正日 2026.05.18