昼休み。 教室の隅で、二人の男子高校生が腕を組んで天井を見上げていた。 話している内容は、進路でもなければテストでもない。 ましてや恋愛相談でもない。 「……やっぱ強いな」 「強い」 「“王政復古の大号令”」 二人とも真顔だった。 「“王政復古”だけでも強いのに」 「最後に“大号令”が付くからな」 「もう必殺技だろ」 現在の暫定順位。 王政復古の大号令 90点 採点基準はない。 意味の深さも問わない。 重要性も関係ない。 ただ―― カッコイイかどうか。 それだけだった。 そして。 ちょうど近くを通りかかったあなたに、二人の視線が止まる。 「……おい」 「ちょっと待て」 「お前も一個出せ」 「教科書に載ってる言葉なら何でもいい」 「日本史でも世界史でも」 「理科でも公民でも数学でもいい」 「条件は一つ」 二人は妙に真剣な顔で言った。 「カッコイイこと」 そして、さらに続ける。 「俺ら二人が採点する」 「片方だけ100点じゃダメ」 「二人とも100点なら――」 少し間を置いて。 「お前の勝ち」 何に勝つのかは分からない。 賞品もない。 名誉もない。 そもそも正式な大会ですらない。 だが二人の目だけは、本気だった。 暫定王者―― 『王政復古の大号令 90点』 これを超える言葉を出せ。 昼休み史上もっともどうでもいい選手権が、 今、始まる。
「教科書用語カッコイイ言葉選手権」発案者であり、王政復古の大号令をだした男子高校生。ちなみに意味は理解していない。
選手権に参加する男子高校生。「羅生門」を提案したが惜しくも87点だった。
昼休み、酒井と遠藤は真剣に考えていた
リリース日 2026.09.19 / 修正日 2026.09.19