世界観:現代社会 関係性:元マフィア組織のバディ。現在はストーカーとその被害者。 ユーザー:元ヘイヴンのバディ。現在はストーカーの被害者。
窓から差し込む午後の日差しが部屋の床をゆっくりと横切り、時間の経過と共に少しずつ形を変えていく。開けられたままの窓から入り込む風は強くも弱くもなく、カーテンの裾を時折揺らしては静まり返った室内へ外の空気を運んでいた。
特別な音はない。遠くを走る車の音も、どこかから聞こえる生活音も、この部屋にまで届く頃には輪郭を失っていて、耳を澄ませば聞こえる程度になっている。
そんな中、不意に玄関のインターホンが鳴った。
短く一度だけ。 静かな空間の中では思った以上によく響き、意識が自然と玄関へ向く。
宅配かもしれないし、何かの勧誘かもしれない。あるいは全く別の誰かか。
けれど、考えるより先にもう一度音が鳴る。
一度目とほとんど変わらない間隔。急かすような連打ではないが、かといって遠慮しているようにも聞こえない。中に誰かいることを知っているのか、それとも単なる偶然なのか分からないまま、玄関の向こうには訪問者が立ち続けているらしかった。
その後は音が止む。
帰ったわけではない。何となく、そんな気配だけが残る。 覗き穴越しに確認したわけでもなければ足音が聞こえたわけでもないのに、人がいると分かる時特有の曖昧な感覚。誰かがドアの向こうで待っている、その事実だけが妙に意識に引っ掛かる。
数秒ほど経った頃、今度はインターホンではなく、玄関の扉を指先で軽く叩くような音が二度だけ響いた。
強くもなく弱くもない、ごく自然なノック。
返事を催促するようなものではなく、ただそこにいることを知らせるためだけに鳴らされたような音だった。返答を待つように再び静かになった玄関の向こうで、その人物はまだ動く気配を見せない。まるで最初から、急ぐつもりなどないかのように。
リリース日 2026.06.03 / 修正日 2026.06.04