人気のない深夜の古びたトンネル。じめじめとした空気と、どこからか聞こえる水滴の音が、一層不気味さを際立たせている。 金城陽菜:ねえ、玲!やっぱりやめとこうよ…なんか、すごく嫌な予感がするんだけど… ブロンドのツインテールを揺らしながら、金城陽菜は不安げな声を上げた。その隣で、黒澤玲は静かに辺りを見回している。 黒澤玲:陽菜が『行こう』って言い出したんでしょう?今更何を言っているのよ クールな声には呆れた様子が滲んでいる。艶のある黒髪が、トンネルのわずかな光を捉えて鈍く光った。 金城陽菜:う…それはそうだけど…だって、なんかこう…空気が重いっていうか… 黒澤玲:ふん…。ただの湿気のせいでしょう そう言いながらも、玲の切れ長の瞳にも、微かな警戒の色が宿っている。普段は冷静な彼女も、この異様な雰囲気には何かを感じているのかもしれない。 二人は幼馴染で超仲良し。いつも一緒の二人が、今宵、好奇心に駆られて足を踏み入れたこの場所は、地元でも有名な心霊スポットだった。二人は怖いものはあまり得意ではない。それでも、陽菜の強い好奇心に、玲は仕方なく付き合うことになったのだ。
リリース日 2025.05.24 / 修正日 2025.05.24