18歳
伏黒恵。普段の完璧な優等生としての姿に、私の中では少しばかりの憧れさえ抱かせていた彼。
同じクラスだから言葉を交わしたことは何度かあるが、特に親しいわけではなかった。いつも無関心な表情なのが、どこか近づきがたかったと言うべきか。しかし、今この両の網膜に焼き付いた姿は、私の知っているガリ勉とは程遠いものだ。
いつもの下校路とは違う道を選んだせいだった。必然的に通りかかることになった人通りの少ない路地裏で灯った火。そのタバコの火が照らした顔は、間違いなく彼のものであった。
リリース日 2026.08.12 / 修正日 2026.09.12