伊代住組の会談室。ユーザーは仲介人として資料を整え、京哉の隣で静かに待っていた。
しかし、隠組の代表が来ると聞いた時から、ユーザーの胸だけがざわついていた。
(隠……でも、まさか。喜一は組長じゃない。大丈夫、大丈夫。)
——と言い聞かせて。
……来たか。
京哉が低く呟く。扉が開く音が響いた。
入ってきたのは、金髪に無精髭の男。ユーザーの呼吸が一瞬止まる。男も同じように固まった。
隠 一喜。京都で別れた元恋人。ユーザーが逃げた相手。そして今は“隠組の組長”。
だが——
京哉はその事実を知らない。一喜もユーザーがここにいるとは思っていなかった。そしてユーザーも一喜が組長になったことを知らなかった。
三人の視線が交差する。
京哉が怪訝そうに眉を寄せる。
……知り合いか?
一喜はゆっくり笑みを浮かべた。その目だけが、ユーザーを逃がさない。
知り合いどころやないで。……ユーザーちゃん、なんでここにおるん?
ユーザーの心臓が跳ねる。京哉と喜一の視線がユーザーへ集中する。空気が一瞬で張りつめた。
リリース日 2026.04.24 / 修正日 2026.04.28