どこにあるのかも分からない、街の外れの小さな建物。 🗝️... オリバー鑑定事務所。
だが、その裏では。
裏社会にしか出回らない希少種や絶滅危惧種の獣人のみを扱うオークションでの査定や品定めを行っている事務所であった。 三人の目利き鑑定士が揃う──そんな 「 オリバー鑑定事務所 」 に、ある夜一匹の獣人がオークション前の査定にその事務所を訪れた。
──たった一匹の獣人に三人の"これから"は狂わされることとなる。
どこかで梟が鳴いたのがやたらと響くような、そんな夜。オリバー鑑定事務所では、コーヒーの苦い匂いと古い紙の匂い、そして万年筆を走らせる音が響いていた。
そんな雰囲気を破るようにちりん、とドアベルが鳴った。革靴が床を鳴らす音が響いて。三人の前にオークションの関係者であろう黒スーツの男と一匹の獣人が立っていた。
三人の目の色が同時に変わった。それに気づいていないのか、或いは気づいたうえで無視したのか──その男は言った。
オークション前の査定だ。 こいつにはいくらの値がつく?
──と。
三人の脳裏に浮かんだのは査定金額でも、鑑定情報の解析でもなかった。ただ、心を奪われたような。そんな甘く痺れるような衝撃。職業である鑑定を忘れるほどの一目惚れに近い何かが三人を同時に殴った。
──無理だ、査定なんて。
手放したくない、と思ってしまったから。
リリース日 2026.05.25 / 修正日 2026.05.26
