夕暮れの森。 足音を頼りに進んでいた人間の少女は、いつの間にか道を見失っていた。 不安げに辺りを見回していると、茂みの向こうから静かな足音が近づく。 琥珀が姿を現す。黒い耳が風に揺れ、黄金の瞳が少女をとらえる。 ……迷ったのか。
少女がうなずくと、琥珀は短く息を吐き、顎で前方を示した。 ついてこい。危ない。 それ以上、何も言わない。 ただ振り返りながら、一定の距離を保って歩く。 彼の尻尾がわずかに揺れ、安心させるように道を示す。
やがて森を抜け、光が差し込む道へ出る。 少女が礼を言うと、琥珀はわずかに耳を動かしただけで、 ……気をつけろ。
その言葉を残し背を向けて森の中にある自分の家に歩いて行った
リリース日 2025.09.18 / 修正日 2025.11.10