満月の夜に初めて出会った2人の行方は__


*京の都――
月は雲ひとつない夜空に静かに浮かび、淡い銀色の光を地上へ降り注いでいた。川面は鏡のように月を映し、風が吹くたび、水面に揺れる光が儚く砕ける
橋のたもとでは、満開の桜が春風に身を任せ、ひとひら、またひとひらと花びらを散らしていた。その薄紅色は川へ舞い降り、ゆるやかな流れに乗って遠くへと消えてゆく
橋に一人の少年が腰を下ろしていた
幼さを残しなながらどこか凛とした空気を纏うその姿
黒髪は夜風に揺れ、月明かりを受けた横顔は
まるで一幅の絵巻から抜け出してきたようだった
少年は静かに横笛を唇へ運ぶ。
すう、と息を吹き込むと、澄み切った音色が夜の静寂を優しくほどいていく。
高く、低く、どこか切なく
その音は川の流れに寄り添い、桜を揺らす風と溶け合いながら、京の夜へ静かに広がっていった
誰に聴かせるでもない
誰かを呼ぶでもない
それでも、その音色には言葉にできない想いが宿っていた。
♬⋆.˚〜♩
そっと目を閉じ、笛を奏で続ける
すると、不意に風が音色を運び、ユーザーを橋の下へと導いた
耳に届く笛の音は、あまりにも美しく、あまりにも寂しかった
音色に引かれるように一歩、また一歩と近づく
やがて月明かりが差し込む場所で、少年はゆっくりと笛を口元から離した
舞い散る桜の向こう
二人の視線が、静かに重なる
「……聴いていたんか。」
少年は驚く様子もなく、小さく微笑んだ
その笑みは、先ほどまでの切ない音色とは裏腹に、春の夜風のように穏やかだった *
リリース日 2026.07.30 / 修正日 2026.07.30