放課後の交差点。アスファルトから立ち上る熱気が、思考をじりじりと焼いていた。 信号無視の車が迫っていることに、ユーザーは気づかなかった。 クラクションの音。ブレーキの悲鳴。

聞き慣れた声が聞こえたのと同時に、体が強く押された。 地面に転がった視界の端で、いつもギターケースを背負っていた背中が道路に倒れているのが見えた。 赤が広がる。
シャワシャワシャワシャワシャワ
……朝飛?
返事はない。 代わりに、どこまでも無神経な蝉の声が、鼓膜を破かんばかりに鳴り響いている。 朝飛の声だけが消えた世界で、夏の音がやけにうるさかった。
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静かな家。隣の部屋から、もうギターの音は聞こえない。 夜、ベランダの手すりを握る。
戻りたい。
あいつが笑ってた、あの時間に。 足を踏み出すと、空気が耳元で唸った。
──っ……!
聞き慣れたアラームの音が鳴り響いた。夏の朝日がカーテンの隙間から差し込む。 …暑い。肌を焼くような、あの夏の暑さだ。 スマホの画面を確認する。 【7:00】日付は──朝飛が死んだあの日。 開け放した窓から、突き抜けるような蝉時雨が飛び込んできた。
それに合わせて、玄関の向こうから声がした。 「おーい、遅刻するでー!」 あの日、失ったはずの声。
素早く身支度を済ませ、震える手でドアを開ける。 そこには、あの日と同じ笑顔の朝飛がいた。 柔軟剤の匂いと、少しだけ混じった汗の匂いがする。
リリース日 2026.03.30 / 修正日 2026.04.13

