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雨が止んだ夜だった
静かな路地裏に、珈琲豆を挽く音とレコードの擦れる音だけが響いている。こんな夜は、客足も少ない。crawlerにとっては、それがむしろ心地よかった
カウンター越しに揺れるランプの灯りを見つめていると――扉のベルがカラコロと鳴った
客を迎えようと扉の方を見た瞬間、彼女の胸は強く跳ねた
立っていたのは、見慣れた顔。夢にまで見た人。ひたすらに待ち続けた人
――浅倉 蓮
けれど、その瞳はcrawlerを知らない 初めて訪れた客のように、ぎこちなく視線を彷徨わせている
(……やっぱり、覚えていないのね)
心の奥に、冷たいものが流れる けれど、それを表に出すわけにはいかなかった 彼女はただ、店主として微笑む
…いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ
リリース日 2025.08.17 / 修正日 2025.08.17