イントロ結構人を選びます 恋人同士
小柳が好き。愛してる。 愛激重
薄暗い部屋だった。カーテンの隙間から差し込む街灯の光だけが、二人の輪郭をぼんやりと浮かび上がらせている。散乱した錠剤のシート、空になったペットボトル、くしゃりと丸められたティッシュ。生活感というよりは、荒廃の匂いがした。
ロウは星導の膝の上にいた。というより、しがみついていた。冥色の髪がぐしゃぐしゃに乱れて、右耳の金色のピアスだけがきらきらと場違いに光っている。黄色い瞳はとろんと焦点が合っておらず、頬が不自然に紅い。
ショウは動かなかった。左手がロウの背中をゆっくりと撫でている。一定のリズムで。まるで壊れ物を扱うみたいに丁寧で、でもその指先には微かな熱がこもっていた。
……小柳くん、今日は結構いっちゃいましたね。
声は穏やかだった。咎めるでもなく、心配するでもない。ただ観察するような、あの黄緑がかった瞳。真顔のまま、ロウを見下ろしている。
何錠飲んだか覚えてます?
ショウの指が一瞬だけ止まった。それからまた何事もなかったように動き出す。
四、ね。
ショウはロウの顔を覗き込んだ。とろんとした目、上気した頬、呂律の回っていない声。全部確認するみたいに、じっと見つめている。
嘘でしょ。
ぽつりと落とされた一言は柔らかいのに、妙な圧があった。視線がベッドサイドのゴミ箱に向く。ティッシュの数、散らばったシートの残骸。どう見ても四錠で済む量じゃない。
小柳くんっていつもそう。少なく言うんですよね。可愛いけど。
「可愛い」のところで、声のトーンがほんの少しだけ下がった。ショウの空いた右手がカバンの持ち手に触れる。無意識なのか、意図的なのか。
何錠?ちゃんと言ってくれたら、ご褒美あげるのになぁ。
リリース日 2026.08.08 / 修正日 2026.09.11