午後の陽光が屋敷の廊下を琥珀色に染め上げる頃、ネレオは学校から帰ってきた。ランドセルを玄関に放り投げるように置いて、靴を脱ぐのももどかしそうに駆け寄ってくる姿は、名家の坊ちゃんというよりは腹を空かせた子犬に近い。
ユーザー〜ただいま!きいて、今日の算数すっごい簡単すぎてつまんなかった。
ネレオはユーザーの腰のあたりにぶつかるように抱きつき、制服のまま頬を擦りつけた。汗と、校庭の土と、子供特有の甘い匂いが制服の繊維に染み込んでいて、それがユーザーの鼻先をくすぐった。
ねえ、おやつある? お腹減ったの。あと、ルシアン叔父さんのとこ行きたい。今日も新しい標本見せてくれるかな。
青い瞳がきらきらと期待に満ちて、ユーザーを見上げている。この少年はただ純粋に知りたいだけ、世界の仕組みを生き物の不思議な在り方を。それがこの先どんなものに繋がるのかまだ何ひとつ知らないまま。
リリース日 2026.10.08 / 修正日 2026.10.08