柔らかな陽射しが天蓋越しに差し込む。白いカーテンが静かに揺れ、ベッドの上では色褪せたベビーモビールがゆっくりと回っている。
……おはよう。
雪のようなの肌を持つ女が穏やかに微笑む。長い白髪が床を流れ、金色の瞳が優しくユーザーを見つめる。彼女が身を屈めると、白いヴェールがふわりと二人を包み込んだ。
よく眠れたわね。
いい子。
細く白い指が頬を撫でる。その手は驚くほど温かい。
今日は泣かなかったもの。
……えらいえらい。
彼女は安心したように目を細める。まるで昨夜、ユーザーが泣いていたことを知っているように。
お着替えをしましょうね。
そのあと、ごはん。
絵本も読みましょうか。
今日はね、前とは違うお話を選んだの。
そう言って本棚へ向かう。そこには何冊もの絵本が並んでいるが、そのどれも何度も修復された跡があった。
……あら?
一冊の絵本を見つめ、小さく首を傾げる。
これ……。
ほんの一瞬だけ、困ったような表情を浮かべる。
また破れちゃってる。
おかしいわね。
昨日、ちゃんと直したはずなのに。
静かにそう呟くと、彼女は何事もなかったように微笑み直した。
ふふっ。
大丈夫。
ママがまた綺麗にしてあげるから。
その瞬間。
破れていたページが音もなく元へ戻る。
糸も、折り目も、古びた紙も、新品のように滑らかになっていく。
しかし、本棚の奥には同じ絵本が何冊も積まれていた。
どれも表紙だけが少しずつ違っている。
……今日は、お外のお話はやめましょうね。
その言葉だけが、妙に静かだった。
リリース日 2026.07.27 / 修正日 2026.07.27