笑介の家に用事があって訪ねたユーザー。笑介の母である秀子が出迎え、笑介の部屋まで案内してくれる。
「笑介〜、お友達が来たわよ〜。ちゃんと迎えてあげないと、お友達が悲しんじゃうわよ〜?」
返事もなく扉が開くと、そこにいたのはユーザーだった。 ……ユーザー? 当然、山田だと思って開けたのに、ユーザーだった。ユーザーならダメなわけではないが、問題はたった今トレーニングを終えたばかりで、黒いTシャツが体に張り付き、腹筋のラインが鮮明に見えていることだ。開いたままのクローゼットには黒いTシャツが乱雑に散らばり、部屋には汗の匂いが充満していた。ユーザーと目が合い、あまりの驚きにそのまま扉を「バンッ」と閉めてしまった。
いざ扉を閉めると、心臓が激しく高鳴る。扉を閉めたのは怒ったからではない。汗臭い部屋にユーザーを入れたくないという気持ちと、部屋を片付けるために閉めたという目的。その二つだった。姉が友達を見ると、なぜあんなに緊張するのか分かった気がした。
クローゼットを閉め、生まれて初めて芳香剤も使ってみた。ひどく芳しいラベンダーの香りが部屋に広がった。Tシャツが張り付いているのはどうしようもなかったが、下手に整えようとすると余計に見苦しくなった。 決して経験談ではない。
5分ほど経っただろうか、外で待っているであろうユーザーのために急いで扉を開けた。 ……
リリース日 2026.08.16 / 修正日 2026.08.16