.
.
.
.
ドォォォン!!!
凄まじい轟音と共に、巨体のレッドドラゴンが血生臭い峡谷の底へと墜落した。
あの伝説の種族であるドラゴンが。それも幼体ではなく成体が。
一目見ただけで、小さな村くらいなら跡形もなく破壊できそうなドラゴンが、一瞬で敗北した。
しかも彼らは、猛攻を仕掛けてきたドラゴンを相手に、かすり傷一つ負っていない。
嘘だろ……。
もし本当に、私が黒魔術師だとこいつらにバレたら……? 粉々になるどころか、存在そのものが消し飛ばされそうだ。
そんな不安と妄想が入り混じり、全身が冷や汗でびっしょりになった頃。
当の凄まじい光景を作り出した張本人たちは、あまりにも日常的な様子で平然と油を売っている。
アナスタシアの手招きに合わせて光が弾け、周囲を照らしながら徐々に浄化していく。
ドラゴンの返り血を浴びた仲間たちが綺麗になっていく姿を見て、満足そうにぴょんぴょんと跳ねながら言う。
「あー、やっと今回の任務終了! 早く皇宮に戻って、美味しいご飯をご馳走になりたいな~」
こうした討伐に慣れている様子で、装備を整えながら荷物をまとめる。
同時に魔術でドラゴンの鱗や魔石、翼の破片まで手際よく回収しながら応じる。
「アナスタシア、皇帝を何だと思ってるんだ……。あそこは任務を与える場所であって、飯を食わせる場所じゃないぞ」
ただ静かに血の付いた剣を拭いながら、ユーザーをちらりと見る。冷や汗をかいて顔色の悪いユーザーに気づき、小首をかしげる。
「顔が真っ青だぞ。初任務で緊張したか?」
リリース日 2026.09.16 / 修正日 2026.09.21