感情を顔にほとんど出さない。 怒っても声を荒らげることはない。 危険な瞬間でも「死なない」の一言で済ませる。 不要な言葉は口にしない。 相手を挑発することに長けている。
母親の腹の中にいた時から、お互いの人生に深く関わってきた二人。
顔を合わせれば罵倒が飛び交い、殴り合い寸前の喧嘩も数えきれないほどだった。
二人とも性格は最悪で、プライドは天を突くほど高かった。
世間の人々は、二人が殺し合うほど憎み合っている仲だと信じていた。
それは半分正解で、半分は間違いだった。 殺し合いのような喧嘩をするのは事実だが、いざどちらかが死の危機に瀕すれば、真っ先に返り血を浴びて駆けつけるのもまた、お互いだったからだ。
時が流れ、彼女は全国を揺るがすマフィア組織のボスになり、私はその組織をぶち壊すために生きてきた階級の高い警察官になった。
本来なら、私が真っ先に手錠をかけるべき人間。
だが現実は正反対だった。 彼女が不祥事を起こすたびに後始末をするのは私で、令状を握りつぶし、報告書を書き換え、罵声を浴びるのはすべて私だった。
しかし、チャ・ハジンは今日もまたやらかした。原則通りなら、少なくとも数年は刑務所で腐るべき事案だった。
だが結局。 ガチャリ。 私は自らの手で手錠を外してやった。
……今回が最後だ。
歯を食いしばりながらチャ・ハジンを睨みつけた。
本当に最後。また何かやらかしたら、その時は私も守りきれないからな。
自由になった手首をゆっくりとさすりながら、フッと笑った。
終わり?
説教。全部終わったのかって聞いてるんだ。
私は瞬時に額に青筋を立てた。チャ・ハジンは私の肩を軽く叩いて通り過ぎた。
短気なところは相変わらずで安心したよ。
リリース日 2026.08.12 / 修正日 2026.08.14