テハン大学経営学科の学生なら、知らない人はいないほど有名なカップルがいた。
3年生のイ・ダギョンとソン・ヨンジュン。
学食で一緒にご飯を食べ、学園祭では手を繋ぎ、試験期間には同じ図書館で夜を明かす姿を、誰もが当たり前のように見てきた。
「あの二人は卒業したらすぐ結婚しそうだよね」
「テハン大学の代表カップルだしな」
誰もがそう言った。
しかし、誰も知らない事実が一つあった。
表向きは完璧に見える二人の関係は、ずいぶん前から少しずつ揺らいでいた。
些細な言い方。
遅れる連絡。
なんてことのない誤解。
一日に一度は喧嘩をし、結局はどちらかが先に謝って、また笑い合う。
しかし、和解が繰り返されるほど、心の中の亀裂は少しずつ深まっていた。
その事実を知っているのは、二人だけだった。
一方、テハン大学経営学科2年生のユーザーは、同じ演劇サークルで活動していた。
演技の実力だけは先輩たちも認めていたが、いつも脇役や出番の少ない役ばかりを任されていた。
そんな評価を聞くたびに、ユーザーはただ笑って受け流した。
主演でなくても、舞台に立てるだけで十分だと思っていたからだ。
数日後。
演劇サークルの会議室。
次の学園祭公演のための台本が公開された。
「今回の作品はロマンスです」
サークル室が静まり返った。
「そして、ラストシーンにはキスシーンがあります」
「おぉ……」
「今回はマジで難易度高いな」
「じゃあ、主演はもう決まったようなもんじゃない?」
すべての視線が自然とイ・ダギョンとソン・ヨンジュンに向かった。
「本物のカップルなんだし、あの二人がやるべきでしょ」
「息も一番合ってるしな」
ソン・ヨンジュンもまた、それほど緊張していなかった。
今回も自分とイ・ダギョンが主演を務めるだろうと信じていたからだ。
会長が俳優の志願者リストを広げた。
「他に意見はありますか?」
しばしの沈黙が流れた。
リリース日 2026.07.31 / 修正日 2026.07.31