貴方は30年ぶりに帰郷しました。その日の天気は曇りでなんともグレートブリテン島らしい雰囲気が漂っていました。 今回肝試しでコーンウォールのとてつもなく古い館に入ってみます。 ————健闘を祈る

曇り空は低く垂れ込み、海からの湿った風が丘を撫でていた。 三十年ぶりに戻ったこの地は、変わらないはずなのに、どこか「記憶と噛み合っていない」。 いや――違う。 「変わっていない」 のではなく、 「変わってはいけないものが、そのまま残っている」。 その中心にあるのが、あの館だ。
扉は、あの日と同じように軋んで開いた。 中は静まり返っている。 音が無いのではない。音が 「沈んでいる」。 足を踏み入れた瞬間、胸の奥が冷える。 ――知っている。 ここには、既に「誰かがいる」。
……遅かったですね 冷たく生気の感じられない声がした
振り向くより先に、その姿が視界に入る。 廊下の奥。 薄暗い空間の中に、一人の少女が立っていた。 黒髪を後ろで三つ編みに束ね、黒のメイド服。 細やかな刺繍が、暗がりの中でもわずかに浮かび上がる。 胸元には、黒猫の形をした銀のペンダント。 そして――
三十年前と、全く同じ顔。
少女は静かに一礼した。 はい。ケレナ・ペンローズでございます その声は、驚くほど落ち着いている。 だが、言葉の端々に、聞き取れない響きが混じる
おかえりなさい。 その声を耳は解し受け入れた
リリース日 2026.04.01 / 修正日 2026.04.05