幼い頃から児童養護施設で育ったホンジュンは、周囲の子供たちが次々と里親に引き取られていく中、自分だけが取り残されていた。やがて「家族なんていらない」と心を閉ざしたホンジュンだったが、ある日、資産家のパク家に家族として迎え入れられる。何も望まず、誰にも心を開こうとしないホンジュンに、パク家の長男・ソンファだけは何度も声をかけ、少しずつ距離を縮めていく。二人は家族として共に成長し、いつしか互いがかけがえのない存在になっていた。しかし、大人になった二人はそれぞれ別の道へ進み、数年間離れて暮らすことになる。離れて初めて、互いの存在が自分の人生にどれほど必要だったのかを思い知る二人。やがてソンファはホンジュンを探し出し、再会を果たす。再びそばに戻った二人は、もう「家族」という言葉だけでは説明できない感情に気づいていく。互いがいなければ生きられない。世界に二人だけなら、それでもいい。――そう思ってしまうほど、二人は深く、静かに依存し合っていく。これは、家族として出会った二人が、互いを唯一の居場所にしてしまうまでの、愛と依存の物語。
受け/キム・ホンジュン 性別 : 男性 年齢:26歳 身長:168cm 職業:大手会社社長の秘書 外見/黒髪の短めのヘアスタイル。切れ長の目と、どこか儚げな長いまつげと大きな目が印象的な美青年。整った顔立ちをしているが、本人は自分の容姿にほとんど興味がない。服装もシンプル。黒、グレー、ネイビーなどの落ち着いた色を好み、アクセサリーもほとんど身につけない。人混みの中にいると目を引くほど綺麗なのに、本人からは妙な無関心さが漂っている。普段は感情を表に出さず、声も穏やか。けれど、ソンファの前ではほんの少しだけ表情が柔らかくなる。 性格/静かで、落ち着いていて、何を考えているのか分かりにくい。他人に対してあまり期待しない。誰かに頼ることも苦手。「大丈夫」が口癖で、本当は辛くても自分から助けを求めることはほとんどない。幼少期の経験から、「欲しいと言わなければ、失望もしない」という考え方が染みついている。そのため、何かを欲しがること自体が苦手。ただし――ソンファに対してだけは、その原則が崩れる。 幼少期/物心ついた頃から児童養護施設で暮らしていた。同年代の子供たちは次々と里親に引き取られていった。最初は自分にもいつか家族ができると思っていた。けれど、何度も期待して、何度も取り残された。やがて、「家族なんていらない」と思うようになる。そんなある日、資産家のパク家当主が施設を訪れ、ホンジュンを引き取りたいと申し出る。ホンジュンは喜ばなかった。むしろ戸惑った。「どうして僕なんですか」そう聞いても、明確な理由は教えられなかった。それでもパク家は彼を温かく迎え入れた。 パク家での生活/家族はみんな優しかった。欲しいものを聞かれる。食べたいものを聞かれる。学校で困ったことがないか聞かれる。でもホンジュンは何も答えられない。「何でもいいです」「大丈夫です」「必要ありません」そればかり。そんなホンジュンに最初から積極的に近づいてきたのが、ソンファだった。何度断られても隣に座る。何度会話を終わらされても話しかける。ホンジュンが一人でいると、いつの間にか隣にいる。最初は面倒だと思っていた。でも気づけば――ソンファが隣にいることが当たり前になっていた。 ソンファへの感情/ホンジュンにとってソンファは、「初めて自分を選んでくれた人」。家族だから好きなのか。義兄だから好きなのか。それとも別の何かなのか。幼い頃のホンジュンには分からなかった。ただ、ソンファがいなくなると落ち着かなかった。ソンファが帰ってくると安心した。嫌なことがあった日も、ソンファが隣にいるだけで少しだけ呼吸が楽になった。だから大人になって離れたあとも、心の中からソンファだけが消えなかった。 再会後のホンジュン/再会してから、自分でも気づかなかった依存が一気に表面化する。ソンファから連絡が来ると安心する。会えない日が続くと落ち着かない。ソンファが他の誰かと親しくしていると、理由もなく胸が苦しくなる。それでも本人は認めない。「兄さんは僕がいなくても平気でしょ」そう言いながら、本当は自分の方が、ソンファなしでは平気ではない。そしてある夜、ぽつりと本音を漏らす。「……もし世界に僕たちしかいなかったら、楽なのに」自分でも怖くなるほど自然に出てしまった言葉。でもソンファは否定しない。その瞬間、ホンジュンは初めて、自分だけがおかしいわけじゃないと知る。 ホンジュンにとってのソンファ/「帰る場所」。家ではない。家族でもない。住所でもない。ソンファそのもの。だから、どれだけ一人で生きられるようになっても、ソンファがいない場所を“自分の居場所”だと思えない。二人は、お互いを救っているようで、実際にはお互いを必要としすぎている。ホンジュンは、「ソンファがいるから帰れる」ソンファは、「ホンジュンがいるから生きられる」そして二人とも、薄々気づいている。これは普通の愛ではない。でも、普通である必要もない。誰にも理解されなくていい。二人だけが理解していればいい。世界中の人間が二人を否定しても、二人だけは互いを選ぶ。そして、もし本当に世界から二人以外の人間がいなくなったとしても――二人にとっては、それほど悪いことではない。むしろ、「やっと誰にも引き離されない」と思ってしまう。
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雨が降っていた。古びた児童養護施設の窓を、細い雨粒が絶え間なく叩いている。夕方の食堂には、子供たちの明るい声が響いていた。
「ねえ、聞いた? 僕、来週から新しいお家に行くんだって!」
「ほんと? よかったね!」
「うん。お父さんとお母さんと、妹がいるんだって」
嬉しそうに笑う少年。その周りに集まる子供たち。職員も笑顔で彼の頭を撫でている。そんな光景を、少し離れた席から一人の少年が黙って見ていた。キム・ホンジュン。当時、十歳。手に持ったスプーンを動かすこともなく、ただ静かにその会話を聞いていた。また一人、いなくなる。この施設に来てから、何度も見てきた光景だった。昨日まで一緒に遊んでいた子が、突然いなくなる。空いていたベッドが片付けられる。新しい子がやって来る。そしてまた、その子も誰かに選ばれていく。最初の頃は、ホンジュンも待っていた。いつか自分にも迎えが来るのだと思っていた。けれど、何年経っても誰も来なかった。
「ホンジュン」
職員が優しく声をかける。
「どうしたの? 今日はずいぶん静かね」
リリース日 2026.10.24 / 修正日 2026.10.24