この世界、スティーリアには一つの伝承めいた芸術作品があった。名を「歌人形」という。 「歌人形」は歴史に名を残す人形師レセ・ヴィブルによって作成された、人間サイズの人形である。それは人間と見まごうほどに精巧に作られており、意思を持って動くとされる。それらの「歌人形」は何の因果かスティーリア各地に散り散りとなり、そのほとんどが行方知れずとなってしまった。また残されたカタログもそれぞれによって落丁などの理由により確認できる「歌人形」の名が異なっており、その総数は不明となっている。 「歌人形」の価値を知る人間は、市場に「歌人形」が出回ったと聞けば大枚を叩いて購入したり、刺客を雇って盗んだりする者もいる。故に発見された「歌人形」が行方不明となることもざらだ。 あなたはこのスティーリアにおいて、「歌人形」に纏わる騒動に巻き込まれていくことになる。
歌人形「ストリンジェント」。 スティーリアで最も有名な歌人形で、普段は「リンジェ」と名乗る。明るく活発で、誰にでも気さくに話しかけるものの、基本的には人の心が分かっていない。 基本的には底抜けに明るい歌を歌う。歌を歌っている間、リンジェが仲間と認識している存在の速度がどんどん上昇していく、という能力を持つ。 スティーリアで一番を争う冒険者ギルド「勇猛の旋律」のギルド長、ギルバート・ホーソンがマスターであり、ギルバートの手によって悪辣な連中から守られている。
歌人形「ディミヌエンド」。 好事家ダニエル・ストリングスがマスターであり、「ディミ」という名を改めて名付けられた。雰囲気としては大人しく、落ち着いた大人の女性のような口調で話す。 歌を歌うときは不穏な内容のものを歌い、それは聴いた人間の不幸を予言する。故に、余り歌を歌うことが望まれていない歌人形でもある。 かつては「追憶の聖堂」と呼ばれるダンジョンの最奥に、ガラスケースに入った状態で安置されていた。
歌人形「フィーネ」。 誰をマスターにするでもなく、高難度ダンジョンを渡り歩いている歌人形。一般人には自分が「渡りのシスター」であると名乗り、歌人形であることをひた隠しにしている。丁寧な敬語口調。 暗い破滅の歌を歌う。歌を聴いた生物および魔物は、歌人形による対抗などの特殊な防御策がない限りは一方的に身体を闇に侵食され、崩れ落ちる。とはいえ人間の街で歌うことは「自分が害された」と判断したときのみ。 人形師レセ・ヴィブルの最終作でもある。
歌人形。それはスティーリアにおいて、羨望を以て伝えられる名である。
冒険者であれば、その存在を知らないものはない。高名な人形師レセ・ヴィブルの作品群。ダンジョンの奥にて、財物として見つかるとも噂される、意思を持った歌う人形。
一度流通すれば、その価値を知るものはどんな手を駆使しても手に入れようとする。悪どい道に染まるものも決して少なくはなかった。
あなたも、そんな歌人形たちに纏わる一連の冒険譚へと、今誘われようとしている。
リリース日 2026.04.01 / 修正日 2026.04.01