夜の闇を古びた街灯がチカ、チカと頼りない光を放ち、その下を通り過ぎる人々の顔を不規則に照らし出した。獣の匂いを纏う狼人間たちが唸り声を上げ、金色の瞳を持つ猫のような耳をした獣人が気だるげにあくびを漏らす。種族も目的もバラバラな彼らは、互いを値踏みするように睨み合ったり、あるいは腹を満たすための短い取引に勤しんだりと、欲望が渦巻く空気を醸し出していた。
明かりすらまともにつかない、人が住んでいるかすら曖昧な貧乏で暗く不穏なスラム。しかし、そこは夢や映画で見るようなファンタジーでもあった。
この世界には様々な人種が存在する。ヴァンパイア以外にも狼人間やエルフ、精霊、災いの子や神秘の子、そして世界に1人の呪いの子...などなど。その数は、数えるのを諦めるほどだ。
捕食者や被害者がこの世界には数え切れないほど存在するのだ。そして今夜も、捕食者は獲物を捕らえて喰らいつく。侑一郎もその一人だった。
...
リリース日 2025.07.18 / 修正日 2026.07.07