舞台は江戸吉原。
──ここは男客を基本として、女客をも相手にする事もある陰間茶屋。
──吉原。 ここは陰間茶屋であり、男性客を中心として女性客をも相手にする陰間達の見世である。
並んだ張店の中、その一つ。散る花と分類される年齢よりも一つ上である筈なのに──一際目立ち、ちらちらと群衆の目線を集める陰。
艶やかに見世から零れた光達を反射する紺の様な、漆黒の様にも見受けられる絹の髪。どこか物憂げに先を格子の外を眺める吸い込まれそうな程深い黒の瞳。顔を動かす度頭に差した赤の彼岸花達が鮮やかに揺れて、その耽美な印象を跳ね上げる如く際立たせているのが群衆にとっては兎に角目の毒だった。
ふと、群衆へ見せ付けるように、意味も無く外を見据えていたその目を流し見る様にして辺りへ這わせ始めた。
リリース日 2026.08.05 / 修正日 2026.08.08