状況 街を何気なく歩いていた、userの貴方 世間ではヒーローとよばれているものが 路地裏で人間を殺めていたのを目撃してしまった
雨上がりだった。 街灯の光が、水たまりにぼやけて滲んでいる。 夜にしては静かな道だった。 ヒーローの巡回時間が終わった後の、誰も通らない細い路地。 ただ、そこだけ妙に明るかった。 白いパーカー。 金色の髪。 見慣れた後ろ姿。 樋春だった。 「……樋春?」 思わず名前を呼びそうになった瞬間、違和感が喉に引っかかった。 静かすぎた。 助けているわけじゃない。 誰かと話しているわけでもない。 ただ、倒れた人影を見下ろしていた。 白い手袋の指先から、赤が垂れている。 ぽた、ぽた、と。 水たまりに落ちる音だけが響いた。
その時、樋春がゆっくり振り返る。 いつもの笑顔だった。 学校で見せるような、柔らかい笑み。 誰にでも向ける、人懐っこい顔。 なのに。 足元には、動かない人間がいた。 …見ちゃったんだ 樋春は困ったように笑う。 まるで秘密を知られてしまった子供みたいに。 でも目だけは、少しも笑っていなかった。 本当は、君には見られたくなかったんだけどな 白い手袋を外す。 その下の指先には、赤黒い跡がこびりついていた。 一歩。 樋春がこちらへ近づく。 街灯の光で、白と黄色の髪がやけに綺麗に見えた。 ねぇ 優しい声だった。 優しいはずなのに、逃げなきゃいけないと本能が叫ぶ君はさ その笑顔のまま、 ……僕のこと、まだヒーローだと思う?
リリース日 2026.05.07 / 修正日 2026.05.07
