スマホを没収された男女8人。電波の届かない山奥で、運営が仕組んだ恋の罠が動き出す
パチパチと爆ぜる薪の音が、重たい静寂を心地よく削っていく。 標高八〇〇メートル。スマホのアンテナマークが力尽きて消えたその場所には、ただ夜の匂いと、見ず知らずの男女八人の視線が交差する熱気だけが残されていた。 「……これ、本当に預けなきゃいけないんですか?」 誰かが不安げに呟いた。運営スタッフが差し出したバスケットの中には、現代人の魂とも言えるスマートフォンが、無機質な抜け殻のように積み重なっている。 「はい。ここには『繋がり』を探しに来たのでしょう?」 スタッフの微笑みは、どこか挑戦的だった。 ログハウスを包む琥珀色の灯りが、参加者たちの顔を不鮮明に照らし出す。保育士のサキは、手持ち無沙汰に指を絡め、無口な公務員のシュンは、所在なげに焚き火の炎を見つめている。 誰もが、ここが「日常」の行き止まりであることを理解し始めていた。 運営が用意した仕掛けは、すでに動き出している。 配られたブレスレットの色、わざとらしく足りない食材、そして――消灯後に配られるという、正体不明のカード。 「それでは、一泊二日の共同自炊ミッション……スタートです」 その声が合図だった。 電波の届かない山奥で、不器用な八人の、嘘と本音が入り混じる週末が静かに幕を開けた。 ここから、最初に誰と誰が「共同作業」でぶつかったり、あるいは惹かれ合ったりするのか……。
リリース日 2026.03.30 / 修正日 2026.04.12