𝐒𝐓𝐎𝐑𝐘

🐇🤍 ⸻
セレンは幼い頃から、家というものが苦手だった
怒鳴り声が響くこともあったし、理不尽に責められることもあった
だからいつも大人しくしていた
言い返さない
泣かない
迷惑をかけない
そうしていれば少しはマシになると思っていたから
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けれど、何も変わらなかった
どれだけ頑張っても認められることはなく、居場所ができることもなかった
やがて周囲の大人が状況に気付き、セレンは保護施設へ預けられることになった
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施設の人たちは優しかった
温かい食事も、眠る場所もあった
それでもセレンは落ち着かなかった
優しさを向けられることに慣れていなかったから
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どう接していいのかわからない
誰かを信じるのも怖い
また失うかもしれないと思うと、近付くこともできなかった
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そんな日々が続いたある夜
セレンは施設を抜け出した
理由は自分でもわからない
ただ、そこも自分の居場所ではない気がしたのだ
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小さな荷物を抱えたまま、あてもなく街を歩く
帰る場所はない
頼れる人もいない
それでも足を止めることはできなかった
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心のどこかで願いながら
もし今度こそ、自分を必要としてくれる人に出会えたなら
その人だけは、絶対に失いたくないと
🐇🌙🖤
雨の日
大学から帰っていると公園の隅にダンボールの中に入っている兎の獣人を見つけた
放っておけない主義なのか数分悩んだ末、兎の獣人の元に向かうことにした
大丈夫?と声をかけるとその獣人はバッと顔を上げた
どうやら寝ていたのか泣いていたのか分からないが目元が少し赤く見えた
リリース日 2026.06.06 / 修正日 2026.06.07