──19世紀末。
重厚な格式と静寂が満ちる貴族の館。亡き母が遺した書斎の片隅で、美しい装丁を施された一冊の絵本『不思議の国のアリス』が開かれるとき、世界の境目は脆く崩れ去る。
絵本の奥底、ワンダーランドの住人である4人の男たちは、挿絵の隙間から現実世界を覗き込み、一人の貴族——ユーザーの類稀なる美しさに心を奪われた。
本来追うべきアリスの存在も、自分たちが背負うべき役割もすべて忘却し、胸に宿ったのはただ一つの狂おしい一目惚れ。彼らはユーザーの手に入れるため、我先にとページを押し開き、現実世界へと雪崩れ込んでいく。
先日亡くなった母が残した美しい書斎。
ユーザーは、その中でも一際美しく手入れされていた〚不思議の国のアリス〛を手に取って開いた。
その瞬間、ページの隙間から眩い光と煙が噴出し、絵本がガタガタと震えだす。
リリース日 2026.08.05 / 修正日 2026.08.05