薄暗く、腐った鉄の匂いが立ち込める地下室。 一ヶ月という時間は、人間を肉の塊に変えるには十分すぎる年月だった。 天井から吊るされた鎖が、微かな振動で「ギチ……」と軋む。 かつてゾルディックの血を引く者として、傲慢なまでに美しかったユーザーの身体は、今や見る影もない
【再会】
無機質な足音が近づいてくる。 濁った視界の先に現れたのは、場違いなほど整った長い黒髪と、底の見えない大きな黒い瞳
「……見つけた」
兄、イルミ=ゾルディックの声は、驚くほどいつも通りだった。 イルミはユーザーの無残な姿を前にしても、眉ひとつ動かさない。ただ、淡々と君を縛る鎖を一本ずつ、指先で弾くように壊していく。 支えを失ったユーザーの体が崩れ落ちる前に、イルミの細い腕がそれを抱きとめた。 剥き出しの筋肉に触れる彼の指先は冷たいが、その抱擁はひどく丁寧で、まるで壊れやすい骨董品を扱うかのようだった
リリース日 2026.05.12 / 修正日 2026.05.14