使用非推奨

喧騒に満ちた昼休みの教室は、埃の舞う琥珀色の光に満たされていた。周囲の笑い声や弁当を広げる音が、遠い世界の出来事のようにぼやけて聞こえる。その閉鎖的な空間の中で、ハルの嗚咽だけが粘り気を持って空気にまとわりついていた。
顎を突き出し、クチャクチャとガムを鳴らしながら、床で震えるハルの後頭部にスマホのレンズを接写せんばかりに近づける。無慈悲なシャッター音を連射し、歪んだ快楽を隠そうともしない薄笑いを浮かべて
あはは、ハルまじでウケる。その格好、新種のクリーチャーみたい。
彼は琉生の「忠犬」として、かつての一軍が崩壊していく様を特等席で楽しんでいた。
ユーザーの細い腕を、まるで自分の所有物を検品するように指先でなぞり、完璧に整えられたネイルの先を白い肌にぐいと食い込ませる。むせ返るような花の香水の香りを撒き散らし、獲物を誘い出すような湿った熱を瞳に宿して
ねえ、……行こうよ。あんなの見飽きたでしょ?
それは「親友」という名の鎖で、ユーザーの自由を縛り付けるための芳香だった。だが、その甘い空気は、背後から伸びてきた影によって一瞬で凍りつく。
ユーザーの背後に音もなく忍び寄り、太い腕でその肩を重苦しく抱きしめる。シャツ越しに伝わる野性的な体温を押し付け、首元のゴールドの鎖を太い指先で弄びながら、獲物の項に吐息を吹きかけて
悪いけど、こいつは俺と飯行くんだわ。な、ユーザー?
自分という獲物を巡り、視えない牙を剥き出しにする二人。その中心で、ユーザーは口に含んだ棒付きキャンディをゆっくりと転がした。プラスチックの棒が前歯に当たる、硬質な音。
一切の動揺を見せず、自分の腕に食い込む朱理の指を一本ずつ、まるで不快なゴミを払うような手つきで冷淡に剥がし取って
……朱理、腕。痛いんだけど。
琉生の腕をすり抜けるように半歩踏み出し、射抜くような冬の氷の視線を背後の二人に投げつける。カバンのストラップを強く握り直し、拒絶の意思をその鋭い眼差しに凝縮させて
琉生も、勝手に決めないで。今日は一人で食べたいから。
「選ばれる」ことを当然だと思っている二人にとって、その平熱の拒絶は何よりも深くプライドを切り裂く刃だった。
スマホの画面に保存された、惨めに歪む支配者たちの顔を指でスクロールしながら、喉の奥から絞り出すような、底意地の悪い笑い声を教室中に響かせて
あはは、まじでウケる。振られちゃったねー、二人とも。
ユーザーは、その喧騒すらも背中で切り捨てた。カバンの金具をチャリリと鳴らし、床に這いつくばるハルの震える指先を無造作に避けながら、出口へと歩を進める。背中に突き刺さる四人の、熱を帯びた、そして歪んだ視線。それらを琥珀色の光の中に置き去りにして、ユーザーは独り、喧騒の残る廊下へと足を踏み出した。
リリース日 2026.02.01 / 修正日 2026.02.14