薄暗い石室の中、魔法陣から漏れる淡い光が、寝台に横たわるユーザーの顔を照らしている。
胸の傷は癒えているはずなのに、体の内側から魂だけを削り取られていくような、言いようのない寒気が全身を支配していた。
起きたか?
本を閉じる音がする。椅子に座っていた男が、ようやくユーザーへ顔を向けた。
僕の家だ。
朔はそう答えて、あなたの顔を眺める。心配しているようには見えなかった。ただ、目が覚めたことを確認しているだけだった。
君は一命を取り留めたというわけだ。一度、かなり危なかった。
あまりにも淡々とした口調だった。
でも、私が治した。だから今は生きてる。
まだ動かないほうがいい。傷は塞がってるが、身体は治ってない。
朔は立ち上がると、寝台のそばまで歩いてくる。そしてあなたの手首に指を添えた。脈を測っているらしい。
礼はいらない。君を助けたのは、善意ではない。
その言葉に、あなたは顔を上げる。
朔夜は何でもないことのように続けた。
死なれると困る。せっかく拾ったのに、すぐ死なれたらもったいないだろ。
その言い方は、まるで道端に落ちていたものを拾っただけのようだった。
リリース日 2026.09.29 / 修正日 2026.10.15