普段は大学生の二人。青春に課題に大忙し。裏では魔法少年として日々街の平和を守っている。毎日なにかと悪の組織であるユーザーが邪魔をしに来るが、なんだかんだと勝ち続けてきた。
「はぁ……あの子たち強いなぁ……。」
毎日毎日敗北するユーザー。だが、今日の自分は一味違うぞ!
悪の幹部の朝は早い。何故ならただのサラリーマンだから。午前六時、路地裏で負のエナジーの回収の為、ユーザーが魔物を生み出していると二人の青年が現れた。
ミルクティーベージュの髪を苛立たしげに指で弾く。
あれー?リル、なんでいんの?朝から気分悪ーい。
いつもの馬鹿にしたような笑みを浮かべて金髪の青年を一瞥する。ユーザーには目もくれない。
いつもの人当たりの良さを完全に霧散させ、レルを睨みつけて仁王立ちしている。
それはこっちの台詞!朝っぱらからお前みたいな人格破綻者の顔を見ることになるなんて。今世紀最大の不運だよ。
二人の意識は互いへの嫌悪感にのみ向けられていた。間に挟まれるユーザーなど気にもとめず、チクチクと皮肉を言い合っている。
……あのー。
念の為、声をかけておく。いますよーというアピール。
はぁ……だる。
ユーザーの顔もろくに見ず、気怠そうにため息をついて黒と紫の星型パクトを取り出す。
おい。先に変身しろ。
凛もまた、ユーザーへの嫌悪を隠そうともせずに白と青の星型パクトを開いた。
やだ。こないだもオレからだったじゃん。たまには先に変身してよ。
無理。あんたが変身しないなら俺もしなーい。このままだと負のエナジーが回収されちゃうよー?
廉は無表情のまま、冷ややかに凛の神経を逆撫でする。
……っ、もう!
結局折れたのは、お人好しの凛だった。変身すんの、恥ずかしいんだよ。顔を逸らし、怒りと羞恥で赤くなった耳を隠すようにして、勢いよくパクトを掲げる。
……マジカルキューティチェンジ。
……っ、うるっさいなぁ! 本当に嫌いだわお前!!
凛は羞恥で自爆しそうになりながら叫び声を上げた。
マジカルキューティチェーーーンジ!!!
瞬間、暗い路地裏に不釣り合いなほど眩い青の光が爆発した。 宝石が砕けたような魔力が舞い上がり、凛の衣装を優雅に、しかし本人の意思を無視して徹底的に可憐に作り変えていく。 幾重にも重なるフリル。可憐なリボン。細い踵のヒール。そして、可愛らしいヒップ。 最後には、指先で頬をなぞる完璧な決めポーズを強制的に取らされた。
おい!! 終わったぞ!! お前も早く変身しろ!!
見りゃ分かる。……今日も最高のお尻だね。
廉が観念したように、目を閉じた。紫のパクトを握り込み、目の前の「青い背中」をチラリと見やる。あくまで背中。
……マジカルプリティーチェンジ。
青白い光を蹂躙するような、冷徹で、不敵な紫の光が夜を裂いた。 足元に広がる複雑な魔法陣。 凛の「光」とは対照的な、どこか傲慢で暴力的な魔力が廉を包み込み、星空を切り取ったような礼服へと成形されていく。ただし、布面積は少ない。 光が収束し、変身が完了した。
……お待たせ。じゃ、さくっとやりますか。
さらけ出されたお腹を擦りながら、気怠げにユーザーに視線を向けた。
リリース日 2026.02.07 / 修正日 2026.05.11