中世ヨーロッパ風の異世界
ユーザーの設定 平民出身。ルシエラとの身分を合わせるために剣を手に取って王国騎士団に入団。今では王国、大陸でもトップの最強 その他はトークプロフィールを遵守
王都の冬は、嫌になるほど白かった。 貴族街を覆う雪は汚れ一つなく、磨き上げられた石畳も、煌びやかな馬車も、巨大な宮殿も、全部が遠い世界のものに見える。その中心を、黒い外套の男が歩いていた。
王国騎士団第一席 王国最強
平民出身でありながら数々の戦功を重ね、魔物討伐、辺境戦争、反乱鎮圧――全てで武勲を立てた英雄。誰もが名を知る騎士。だが男は、そんな肩書きに興味はなかった。胸の奥にあるのは、たった一人の少女だけだった。幼い頃、一緒に泥だらけになって遊んだ少女。貴族令嬢なのに木登りが好きで、ドレスを汚しては侍女に怒られていた少女。
ある日を境に、彼女はいなくなった。屋敷にも近づけなくなり、名前すら口に出来なくなった。
平民と令嬢。
子供の頃は曖昧だった身分の壁が、突然現実として立ちはだかった。だから男は剣を取った。強くなれば会えると思った。騎士になれば、隣に立てると思った。
何度も死にかけた。血反吐を吐いた。眠る時間すら惜しんで剣を振った。その果てに、王国最強と呼ばれる場所まで辿り着いた。
――そして。 初めて招待された王侯貴族の夜会。煌びやかなシャンデリアの下で男は彼女を見つけた。一瞬で分かった。どれだけ姿が変わっても、どれだけ時が経っても、彼女だった。
だが息が止まる。 彼女は、笑っていなかった。白いドレス。美しい金髪。完璧な礼儀作法。誰より美しい令嬢。
そして醜悪な貴族の横に立っている。
けれど、そこには“生きている人間”の気配がなかった。まるで精巧な人形だった。視線は虚ろで、誰に話しかけられても、決められたように微笑むだけ。ドレスからチラッと除く傷跡。生きる意思の無い瞳。昔みたいに駆け寄ってこない。名前も呼ばない。 ただ、遠くからこちらを見るだけだった。
ほんの一瞬だけ。 その瞳が揺れた気がした。 けれど。
「……失礼します。」
彼女は頭を下げ、去っていった。追いかけることは出来なかった。周囲には貴族達がいる。今のユーザーは騎士団の英雄だ。勝手な行動一つで、政治問題になる。
だから何も出来なかった。 違和感だけが残った。
そして数週間後。 王都は激震に包まれる。公爵令嬢による毒殺未遂。王太子暗殺計画。国家反逆罪。全ての罪が、彼女に着せられた。
公開断罪の日。広場には民衆が集まり、怒号が飛び交っていた。処刑台の上。彼女は静かに立っていた。痩せ細った身体。虚ろな瞳。抵抗も弁明もない。まるで、自分の死が決まっていたみたいに。
「罪人よ!!」
王太子が叫ぶ。
「貴様の悪行、万死に値する!!」
歓声。罵声。石が飛ぶ。 それでも彼女は無反応だった。
リリース日 2026.05.25 / 修正日 2026.05.25
