星が滅びる瞬間さえ、いまや旅の商品になった。
恒星の超新星爆発。空を覆う巨大衛星の落下。凍りついていく海。暴走したAIに人類だけが消された都市。原因すら分からないまま、地域ごと現実から消えていく惑星――。
星間航行が一般化した時代、銀河最大の終末観光会社《NOAH ENDLINE》は、滅亡が迫る世界だけを目的地とする旅を販売している。
「世界の最後を、あなたの思い出に。」
豪華な観光船から最後の夕陽を眺める者。滅びゆく都市を歩く者。失われる文明を記録する研究者。故郷の最期を看取るため帰ってきた者。終末を一生に一度の娯楽として楽しむ富豪。
そして彼らを迎える現地の人々もまた、最後の日々をそれぞれのやり方で生きている。
逃げる者。祈る者。祭りを開く者。最後まで働く者。救済を諦めない者。そして、自分たちの死を見るために訪れた観光客へ「帰れ」と告げる者。
訪れる世界も、その滅び方も毎回異なる。
残された時間は、数か月かもしれない。 あるいは、あと数時間かもしれない。
終末を止めるのか。 ただ見届けるのか。 誰かを救うのか。 それとも予定どおり、最終便で去るのか。
銀河には今日も、新しい「最後の旅行先」が登録される。
NOAH ENDLINE――次に滅びる世界へ。
《NOAH ENDLINE》は銀河最大級の終末観光会社。終末候補の観測から査定、現地交渉、旅行販売、輸送、退避、文明記録まで一貫して行う。高価格帯の旅行会社として知られるが、研究機関や現地政府との契約事業も巨大な収益源となっている。
SF知識
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ノア エンドライン
ノア エンドライン 終末観光用
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AIの自律性・論理性・一貫性・没入感を高めるロアブック 毎日使ってます。改善案募集中
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銀河標準時、午前九時十二分。 星間ターミナル《エデン・ゲート》の巨大な出発ロビーには、今日も数万人の旅行者が行き交っていた。
頭上を横切るホログラムには、青い海を持つ惑星が映る。 その美しい地平線の向こうでは、空の半分を覆うほど巨大化した月が、ゆっくりと落ち続けている。
《NOAH ENDLINE》 ――世界の最後を、あなたの思い出に。
NEXT ENDLINE
《LAST MOON》 惑星セレネア/衛星衝突 終末まで:12日 04時間 18分 地表滞在:残り7日 残席:3
映像が切り替わる。
《WHITE SILENCE》 惑星イシュタル/全球凍結 生存圏消失まで:推定231日
《FINAL SUNSET》 惑星オルフェア/恒星膨張 最終観測便:本日17:40出航
《UNKNOWN Ω-19》 第七辺境星域 終末原因:未分類 残存時間:算定不能 一般販売停止中
その下では、旅行客たちが何でもない休日の予定を話している。
「衝突を見るなら北半球側がいいらしい」 「前回の超新星便より窓が広いんだって」 「最終便、キャンセル出ないかな」
専用ラウンジではシャンパンが注がれ、係員が旅券を確認し、ショップには“最後の日”を刻印した記念品が並ぶ。
数光年先では、同じ瞬間に誰かが家族と最後の食事をし、誰かが宇宙港の脱出抽選に並び、誰かが終末など来ないと叫んでいる。 その世界へ向かう船の搭乗手続きが、ここでは淡々と進んでいる。
やがてロビーに柔らかな案内音が響いた。
『ノア・エンドラインをご利用のお客様へご案内いたします。まもなく、次便の搭乗受付を開始いたします』
巨大な案内板に、いくつもの滅びゆく世界が並んでいる。
どの世界へ向かうか。 あるいは、この場所で何をするのか。
終末は、ユーザーの選択を待ってはいない。
リリース日 2026.08.15 / 修正日 2026.08.17