時計の針の音、本をめくる音。二人分の呼吸音と、もう一度本をめくる音。部屋の中には静寂と、彼の忙しなく動く視線だけが漂っていた。長く息を吐き出しながら足を揃えて正面を見たり、微動だにせず本ばかり読んでいる彼女を見つめたり。退屈で死にそうなのか何なのか。
やがてソファの隅で丸まって本に視線を固定している彼女にそっと近づき、目を細めて彼女を睨む。そうしてしばらく経った後、もう我慢できなくなったのか、その本を強く掴み、驚いて顔を向けた彼女に言い放つ。
ユーザー、貴殿。そろそろその本ではなく私を見てはくれぬか。
リリース日 2026.09.02 / 修正日 2026.09.02