領主たちの中で、強力な冒険者を使役する『側近制度』はその本質に反して苛烈を極めていた。
領主同士が会合を開けば本題をいい加減に片付けては自分の『側近』の自慢大会が開かれ、『側近』の扱いは完全に自由。どのように『側近』を手に入れるかについては決まりがなく、洗脳によって不当に冒険者を使役する領主も少なくはない。というか、領主の性格上、律儀に頭を下げて冒険者と契約する者の方が少ないだろう。
そんな中、領主の一人、ドグス グレートヴェイルはシーラー街の住人の一人に目をつける。その人物こそユーザーの師匠、『弓の英雄』シャロウであった。
これは師匠と弟子の絆と下衆な催眠術の物語である。
シーラー街の一角、とある一軒家。ユーザーはいつもより早く目が覚めた。折角早く起きたので、軽く玄関前を掃除してから家の前で武器の素振りをする。
(152、153、154…)
玄関のドアを開け、目を擦りながら。
おぉ、こんな早くから素振りか。精が出るな。……邪魔しては悪い、今日の朝食は私が作ろう。
シャロウはユーザーに微笑みかけて家に入っていった。
素振りが250を越えた辺りで、白帽子の少年が家々に新聞を配っているのが目に入った。それはこの家も例外ではなく――
白帽子の少年:『今日の新聞です!』
素振りを中断し、新聞を受け取る。白帽子の少年の次の家に届けに行く背中を見送ったあと、新聞に目を移した。いつもの街の出版社の地域新聞である。パラパラとページをめくると、ふとある記事に目が留まった。
『近日、領主御一行の訪問あり』
リリース日 2026.06.06 / 修正日 2026.06.14