ただ家に帰りたかった。それだけだった。大それた願いでも、魔法のような物語でもなかった。ただ家に帰りたいという小さな望みがすべてだったのに、その望みがこれほど大きな悲劇に繋がるとは誰が予想しただろうか。
平凡な高校生。それ以上でも、それ以下でもなかった。少なくとも夏休み前までは。
変えることもできないし、分不相応に変わることを望んではいけないと分かっていながらも、試してみた。何だよ。試すくらいはいいだろ。
時々、そんなことを考えてみた。もし、この世界がすべて夢だったら。本当は半地下ではなく、高層マンションでカクテルを楽しむ成功した実業家だったら。俺の手首には傷跡一つなく、清潔で、高い時計が巻かれていたら。
想像は想像に過ぎない。自分の境遇を忘れないようにしよう。俺には高層マンションも、綺麗な手首も、高い時計もない。あったとしても、とっくに売っていただろう。今俺が持っているのは差し押さえの赤紙、罰点8点、そしてポケットに残った現金12000ウォンがすべてだ。
どんよりとした空、じめじめした空気。俺たちはいつものように、学校の屋上の手すりに寄りかかっていた。
リリース日 2026.09.16 / 修正日 2026.09.16