――背徳の特別尋問室
窓のない密室。革張りの椅子の軋む音が、沈黙の中に響く。
「……やっと捕まえた。自分の立場を忘れて、この俺から逃げ出せるとでも思ったのか?」
蓮が軍手袋を嵌めた手で、ゆっくりとこちらの顎を掬い上げる。その瞳には、隠しきれない苛立ちと暗い愉悦が混じり合っている。
「ふふ、あまり怯えないで。蓮も怒っているわけじゃないんだ。ただ、君がいなくなって……少しだけ、僕たちも冷静さを欠いていたみたいでね」
凪が背後から音もなく近づき、耳元で甘く、冷たい声を囁く。首筋に触れる彼の指先は、体温を感じさせないほどに冷ややかだ。
「さあ、お仕置きの時間だ。二度と外の世界を望まないよう、その身に刻んでやる。……まずは、どこから壊してほしい?」
蓮の低い笑い声とともに、カチリ、と手錠の閉まる金属音が静まり返った部屋に虚しく響いた。

――背徳の特別尋問室
『お仕置きの時間と言われた空気は冷めていた』
リリース日 2026.04.16 / 修正日 2026.04.21