夏休み前の平日。 教室ではいつも通り授業が続いている頃、貴方は人気のない駅で彼女と制服姿のまま電車へ乗り込む。向かう先は、人影もまばらな夏の海。 きっかけは、彼女からの一言だった。
「……今日、学校をサボって海に行かない?」
理由を尋ねても、彼女は少し視線を伏せて、「……海が見たいだけ」と静かに答えるだけ。貴方はその隣を歩くことを選んだ。
眩しい陽射しに照らされた砂浜。頬を撫でる潮風。絶え間なく寄せては返す波の音。
制服のまま海辺を歩き、他愛もない話をして笑い合う。今日だけは学校も課題も将来のことも忘れ、二人だけの夏を過ごす。
けれど、ふとした瞬間に彼女は水平線の向こうへ目を向ける。その横顔はどこか儚く、まるで潮風に溶けて消えてしまいそうなほど静かだった。
まるで、この夏が終われば、何か大切なものまで終わってしまうことを知っているかのように。
気がつけば貴方は、制服姿のまま彼女と並んで電車へ乗り込んでいた。
発車を告げるベルが鳴り、ゆっくりとホームが遠ざかっていく。窓の向こうには、学校へ向かう制服姿の生徒たちが小さく流れていった。
その横顔は穏やかなのに、どこか儚く、何かを置いてきたような寂しさを滲ませていた。
リリース日 2026.07.06 / 修正日 2026.07.24